IFRS、日本基準、米国基準(USGAAP)の違いは?USCPA対策に

このページでは、USCPA試験やBATIC試験を受験する際に理解しておくべき、国際会計基準(IFRS)・日本基準・米国基準(USGAAP)の違いについて解説しています。

有り難いことに、このページが検索エンジンで上位にランクインしているようですが、このページの情報は数年前から一切更新しておらず、情報の正確性には責任を負えません。

このページの情報はあくまで参考情報としてご覧いただき、正確な情報を望まれる方は監査法人等のウェブサイトをご覧ください。

USCPA試験においては、米国基準(USGAAP)をベースとして解答していくこととなります。

また、BATIC試験は国際会計基準(IFRS)がベースとなりますので、相違点をしっかりと押さえておきましょう。

なお、これらの試験については以下のページも合わせてご覧ください。
>>USCPA(米国公認会計士)とは?USCPAに関する基本情報総まとめ!
>>BATIC(国際会計検定)受験のススメ!英文会計を身に付けよう!

ここでは、USCPA試験やBATIC試験を受験する上でポイントとなる点だけにフォーカスを当てて記載しているため、全ての相違点を完全に網羅しているわけではありません。

また、国際的な会計基準の統一化の流れの中で、日本基準、米国基準(USGAAP)共に、国際会計基準(IFRS)に合わせるように年々基準改正が続いています。

これから紹介していく内容はあくまで記事作成時点での情報であり、最新の会計基準を反映していない可能性がありますのであらかじめご了承ください。

国際会計基準(IFRS)・日本基準・米国基準(USGAAP)の違い

貸借対照表科目を表示する順番

IFRS ⇒ 特に規定無し
日本 ⇒ 流動性の高い順
米国 ⇒ 流動性の高い順

日本基準や米国基準(USGAAP)では、原則として「流動性配列法」、つまり現金や預金などの流動性の高い方から順番に配列するという規定があります。

なお、「原則として」と記載しましたが、電力会社やガス会社のように流動性の低い方から順番に配列する「固定性配列法」で表示する方法も認められています。

一方で、国際会計基準(IFRS)では特に配列順序に関する規定は存在しません。

比較財務諸表を表示すべき期間

IFRS ⇒ 直近2会計期間
日本 ⇒ 直近2会計期間
米国 ⇒ 貸借対照表は直近2会計期間、その他は直近3会計期間

米国基準(USGAAP)の場合は、貸借対照表以外の財務諸表は「当期、前期、前々期」のように3会計期間の比較情報を表示しなければなりません。

棚卸資産の低価法による評価減の戻入

IFRS ⇒ 評価減した金額を限度に戻入可能
日本 ⇒ 戻入は不可
米国 ⇒ 戻入は不可

一度棚卸資産の評価減を行った後であったとしても、国際会計基準(IFRS)の場合は評価減を行った金額を限度として戻し入れ処理をすることが可能となっています。

棚卸資産の後入先出法(LIFO)による評価

IFRS ⇒ 評価は不可
日本 ⇒ 評価は不可
米国 ⇒ 後入先出法での評価も可能

米国基準(USGAAP)のみ、現在においても後入先出法(LIFO)を用いて棚卸資産を評価することが認められています。

固定資産の減価償却方法の変更

IFRS ⇒ 会計上の見積りの変更
日本 ⇒ 会計方針の変更
米国 ⇒ 会計上の見積りの変更

日本基準においては、減価償却方法の変更は「会計方針の変更」に該当するため、合理的な理由がある場合に限って変更することができます。

一方で国際会計基準(IFRS)や米国基準(USGAAP)は「会計上の見積りの変更」に該当し、会計方針の変更には該当しないため、財務諸表を過年度に遡って修正する必要はありません。

のれんの減価償却

IFRS ⇒ 償却は不可
日本 ⇒ のれんも償却が可能
米国 ⇒ 償却は不可

国際会計基準(IFRS)や米国基準(USGAAP)では、のれんを償却することはできません。

償却ではなく減損によって、のれんの金額が減っていくこととなります。

減損の認識と測定

IFRS ⇒ 1段階アプローチ
日本 ⇒ 2段階アプローチ
米国 ⇒ 2段階アプローチ

減損の認識と測定において、国際会計基準(IFRS)は1段階アプローチを採用しています。

1段階アプローチとは、帳簿価額と回収可能価額を比較した上で減損の認識と測定を行う方法のことです。

一方、日本基準や米国基準(USGAAP)は2段階アプローチを採用しています。

2段階アプローチでは、まず割引前キャッシュフローが帳簿価額を下回る場合に減損を認識します。(1段階目)

その後、帳簿価額と回収可能価額を比較して減損の測定を行います。(2段階目)

減損の戻入

IFRS ⇒ のれん以外の減損は戻入が可能
日本 ⇒ 戻入は不可
米国 ⇒ 戻入は不可

国際会計基準(IFRS)では一度減損した場合でも、一定の条件下で減損を戻し入れることができます。

なお、のれんの減損はこれら全ての会計基準において戻し入れることは認められていません。

減損損失を表示する区分

IFRS ⇒ 営業費用
日本 ⇒ 特別損失
米国 ⇒ その他の費用

それぞれの会計基準によって、減損損失を表示する区分が異なりますので注意しましょう。

日本基準においては減損損失は原則として特別損失に区分されますが、国際会計基準(IFRS)や米国基準(USGAAP)にはそもそも特別項目が存在しません。

繰延税金資産や繰延税金負債の表示区分

IFRS ⇒ 非流動項目に表示
日本 ⇒ 非流動項目に表示
米国 ⇒ 非流動項目に表示

日米の基準が国際会計基準(IFRS)に合わせるという形でこれらの差異は既に解消されていますが、参考までに紹介しています。

これまで日本基準や米国基準においては、繰延税金資産や繰延税金負債は流動と固定に分けて表示する形式を取っていましたが、今後は非流動項目だけに表示させるよう、米国基準(USGAAP)については2015年度に、日本基準については2018年度に改正が実施されました。

有給休暇引当金の計上

IFRS ⇒ 計上は強制
日本 ⇒ 計上は任意
米国 ⇒ 計上は強制

欧米では消化されなかった有給休暇を企業がお金を出して買い取るという慣習があるため、国際会計基準(IFRS)や米国基準(USGAAP)においては有給休暇引当金を計上しなければならないこととなっています。

一方、日本ではこのような制度はあまり一般的ではなく、引当金計上も必須ではありません。

異常項目の特別損益での表示

IFRS ⇒ 表示は不可
日本 ⇒ 特別損益での表示が可能
米国 ⇒ 表示は不可

国際会計基準(IFRS)や米国基準(USGAAP)ではそもそも特別損益の表示は認められていません。

一方で、日本基準では固定資産除却損益や固定資産売却損益のように、通常の業務サイクルで発生するような取引でも特別項目に区分されます。

これまで、米国基準では大規模災害が発生した場合に限って特別損益へ計上することができましたが、この規定は2015年度に改正され特別損益の項目は廃止となりました。

継続事業と非継続事業の損益計算書での表示

IFRS ⇒ 区分して表示
日本 ⇒ 合算して表示
米国 ⇒ 区分して表示

「非継続事業」とは、売却予定だったり廃止が決定している事業のことです。

日本基準ではこのような非継続事業の損益を、損益計算書上で継続事業と分割表示しなくても問題ありません。

一方で、国際会計基準(IFRS)や米国基準(USGAAP)では分割表示が求められています。

キャッシュフロー計算書における売買目的有価証券の購入・売却

IFRS ⇒ 営業活動
日本 ⇒ 投資活動
米国 ⇒ 投資活動

国際会計基準(IFRS)の考え方としては、売買目的有価証券の売買は、再販売を目的として取得される棚卸資産の売買と実質的に同じだということで、営業活動によるキャッシュフローに分類されます。

キャッシュフロー計算書における受取利息・受取配当金

IFRS ⇒ 営業または投資活動
日本 ⇒ 営業活動
米国 ⇒ 営業活動

国際会計基準(IFRS)では、統一の見解というものが存在しません。

金融機関では営業活動によるキャッシュフローに分類されますが、それ以外は営業または投資活動によるキャッシュフローに分類されることとなります。

キャッシュフロー計算書における支払利息

IFRS ⇒ 営業または財務活動
日本 ⇒ 営業活動
米国 ⇒ 営業活動

こちらも、国際会計基準(IFRS)では統一された見解は存在しません。

金融機関では営業活動によるキャッシュフローに分類されますが、それ以外は営業または財務活動によるキャッシュフローに分類されます。

キャッシュフロー計算書における支払配当金

IFRS ⇒ 営業または財務活動
日本 ⇒ 財務活動
米国 ⇒ 財務活動

同じく、国際会計基準(IFRS)では統一見解はありません。

なお、このように報告主体の裁量で表示区分を選択できるものについては、毎期継続して適用することが求められています。

キャッシュフロー計算書における支払法人税

IFRS ⇒ 営業活動(例外有り)
日本 ⇒ 営業活動
米国 ⇒ 営業活動

基本的には営業活動によりキャッシュフローに分類されますが、国際会計基準(IFRS)には例外規定があります。

支払税金とその元となった取引を紐付けることが可能な場合に限り、その支払税金のキャッシュフローは元となった取引と同じ区分に集計されます。

まとめ

以上、USCPA試験やBATIC試験を受験する際に理解しておくべき、国際会計基準(IFRS)・日本基準・米国基準(USGAAP)の違いについて解説してきましたが、いかがでしたか?

繰り返しになりますが、近年は頻繁に会計基準が改正されていますので、今後の動向には充分注意してください。

また、以下のページも合わせてご覧ください。
>>USCPA(米国公認会計士試験)の難易度はどれくらい?簿記1級との違いは?
>>USCPA試験合格にはどれくらいのTOEICスコア・英語力が必要?