「過去形」と「現在完了形」の違いとは?ニュアンスと使い分けを解説

このページでは、「過去形」と「現在完了形」の違いと使い分けについて解説しています。

「過去形」と「現在完了形」はニュアンスがよく似ているため、両者の違いをしっかりと理解できていない人が多いのではないでしょうか。

このページを参考に、適切な使い分けができるようになりましょう。

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「過去形」と「現在完了形」の違い

まずは、「過去形」と「現在完了形」の違いについて見ていきましょう。

文法における違いは以下の通りです。

「過去形」 ⇒ 主語+動詞の過去形
「現在完了形」 ⇒ 主語+have(has)+動詞の過去分詞形

「現在完了形」の場合、三人称単数現在形になると「have」ではなく「has」となります。(三単現の「s」)

また、意味の違いは以下の通りです。

「過去形」 ⇒ ~した
「現在完了形」 ⇒ ~し終わった(完了)、~したことがある(経験)、~してしまった(結果)、~している(継続)

このように、「現在完了形」 には「完了、経験、結果、継続」という4つの用法があります。

学校ではこれら4つの用法をしっかりと暗記するように言われたかもしれませんが、そこまでする必要性はありません。

以下の図解で「過去形」と「現在完了形」のニュアンスさえ掴んでおけば、4つの用法を丸暗記しなくても基本的には問題ありません。

「過去形」は図の赤い点、「現在完了形」は赤い矢印を意味していると考えてください。

「過去形」の場合は過去の一時点のことについて話をしており、現在もその状況が継続しているかどうかは分かりません。

一方で、「現在完了形」の場合は過去からの現在までのことについて話をしていて、しかもその状況は現在も続いています。

このニュアンスについては、しっかりと押さえておいてください。

上でも述べたとおり、「現在完了形」 には「完了、経験、結果、継続」という4つの用法がありますが、根本的な考え方は同じです。

「完了」は、「~し終わった」状態が継続している
「経験」は、「~したことがある」状態が継続している
「結果」は、「~してしまった」状態が継続している
「継続」は、「~している」状態が継続している

といったニュアンスとなります。

「経験」に関して言うと、「イタリアに行ったことがある」という人は、1年後も10年後も「イタリアに行った」という事実に変わりはありません。

また「結果」に関しても、「財布を失くしてしまった」という場合、財布は現在も手元にはありません。

もし「財布を失くしたけど見つかった」という場合は、「失くす」という行為が現在まで継続していないので「現在完了形」は使いません。

少し難しいかもしれませんが、「過去形」は過去の一時点のこと、「現在完了形」は過去から現在まで継続していること、というニュアンスだけはしっかりと押さえておきましょう。

「過去形」と「現在完了形」の使い分け

「現在完了形」の4つの用法について、「過去形」と対比しながら使い分けを確認していきましょう。

「現在完了形」 の「完了」用法

まずは、「~し終わった」の「完了」用法です。

例文を2つ並べてみましょう。

I cleaned my room.
I have cleaned my room.

上が「過去形」、下が「現在完了形」の文章です。

さて、「あなたが部屋を掃除した」ということを会話相手に伝えたい場合、どちらの文章が適切でしょうか。

少し考えてみてください。

いかがでしょうか。

正解は、「どちらの文章でも問題無い」です。

先ほど見た図解を思い出してみてください。

「過去形」は過去の一時点のこと、「現在完了形」は過去から現在まで継続していること、を意味しています。

どちらも過去のことについて話しているので、両方正解です。

「過去形」と「現在完了形」の違いは、あくまでニュアンスの違い、伝えたいことの違いです。

分かりやすいように、上の文章を少しアレンジしてみましょう。

I cleaned my room an hour ago.
⇒ 私は1時間前に部屋を掃除した。

I have already cleaned my room.
⇒ 私は既に部屋を掃除し終わった。

いかがでしょうか。

「過去形」は過去の一時点のことを表すので、「いつ」掃除をしたかということを強調したい場合は「過去形」を使うと効果的です。

この場合は、1時間前(an hour ago)ですね。

「現在完了形」は過去から現在まで継続していることを表すので、「いつ、どのタイミングで」掃除をしたかは重要ではありません。

掃除を「既に(already)終わらせた」ということを強調したい場合には、「現在完了形」を使うと効果的にニュアンスを伝えることができます。

まとめると、「過去形」と「現在完了形」の使い分けのポイントは、「何を伝えたいのか」という点にあります。

それでは、他の3つの用法も見ていきましょう。

「現在完了形」 の「経験」用法

次に、「~したことがある」の「経験」用法です。

こちらも、例文を2つ並べてみます。

I went to Taiwan two years ago.
⇒ 私は2年前台湾に行った。

I have been to Taiwan several times.
⇒ 私は数回台湾に行ったことがある。

上が「過去形」、下が「現在完了形」の文章です。

繰り返しになりますが、「過去形」は過去の一時点のことを表すので、「いつ」行ったかということを強調したい場合は「過去形」を使うと効果的です。

この場合は「2年前(two years ago)」ですね。

一方で、「現在完了形」は過去から現在まで継続していることを表すので、「いつ」行ったかは重要ではありません。

とにかく、これまで「行ったことがある」ということを強調したい場合は「現在完了形」を使います。

過去から現在までの継続的な時間の中で「数回(several times)」行ったことがあるということを強く伝えたい場合は、「現在完了形」が効果的です。

「現在完了形」 の「結果」用法

次に、「~してしまった」という意味の「結果」用法です。

こちらも、2つの例文を見ていきましょう。

I lost my wallet yesterday.
⇒ 私は昨日財布を失くした。

I have lost my wallet.
⇒ 私は財布を失くしてしまった。(今も無い)

同様に、「いつ」失くしたかを強調したい場合は「過去形」を使います。

「過去形」の場合、現在は財布が手元に有るかもしれませんし、無いかもしれません。

一方、「現在完了形」の場合は「財布を失くした」という状態が現在も継続しており、これを強調することができます。

「現在完了形」 の「継続」用法

最後に、「~している」の「継続」用法です。

以下、2つの例文を見ていきましょう。

I stayed Kyoto two weeks ago.
⇒ 私は2週間前に京都に滞在した。

I have stayed Kyoto for three days.
⇒ 私は3日間京都に滞在している。

「いつ」というタイミングを強調したい場合は「過去形」を使います。

この場合、話者が現在も京都にいるかどうかは分かりません。

「継続してきた期間」を強調したい場合には、「現在完了形」を使うと効果的です。

この場合、話者は現在も京都にいます。

まとめ

以上、「過去形」と「現在完了形」の違いと使い分けについて解説してきましたが、いかがでしたか。

「現在完了形」には4つの用法がありますが、根本的なニュアンスや考え方は同じです。

両者の違いをしっかりと押さえた上で、適切な使い分けができるようになりましょう。

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